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このテーマの解説・移住前に知っておきたいこと

この一覧の「国民保養温泉地」って何?

国民保養温泉地は、温泉法第29条に基づき、環境大臣が指定する温泉地です。温泉を守り、多くの人が利用できるようにするための制度で、泉質、湧き出る量、周りの自然、利用施設などが一定の基準を満たす地域が選ばれます。療養や、体を休めるために温泉を利用する拠点として扱われています。

最初の指定は1954年(昭和29年)で、酸ヶ湯温泉(青森県青森市)、奥日光湯元温泉(栃木県日光市)、四万温泉(群馬県中之条町)の3箇所が第1号として選ばれました。以来、全国各地で追加指定が続けられており、山間部の秘湯から市街地に近い温泉街まで、幅広い立地の温泉地が名を連ねています。

環境省の公式一覧は2022年10月現在で79箇所です。この資料をもとに、2026年7月時点の編集で74市区町村・82件の自治体情報を載せています。指定は追加や見直しがあるため、現在の正確な指定数を知りたいときは、環境省の最新資料を確かめてください。

1つの自治体に複数の指定がある例もあります。山形県鶴岡市には湯田川温泉・湯野浜温泉・あつみ温泉・由良温泉の4件が指定されており、長野県松本市にも白骨温泉・美ケ原温泉の2件があります。また、大分県竹田市の「竹田温泉群」のように、長湯温泉・久住温泉郷・竹田/荻温泉などをまとめて1件の指定として扱っている例もあります。

反対に、1件の指定が複数の自治体にまたがっているケースもあります。ニセコ温泉郷は北海道の蘭越町とニセコ町にまたがって指定されており、畑毛温泉も静岡県の伊豆の国市と函南町にまたがっています。こうした指定のまとめ方の違いによって、温泉名を単純に数えた件数と環境省の公式指定数(79箇所)にはずれが生じる場合があります。

温泉が、いつもの暮らしにある楽しみ

温泉地には、共同浴場や外湯が日々の暮らしに溶け込んでいる地域があります。観光客向けの大浴場とは別に、地元の人向けの料金や、住民だけが使えるお風呂を設けた旅館・共同浴場も見られます。普段から湯につかれることが、温泉地で暮らす楽しみの一つです。

長く滞在して温泉で療養する「湯治」の文化が残る地域では、利用者と住民との交流が日常の一部になっていることがあります。自炊できる宿や、地域の診療所と連携した湯治のプログラムがある温泉地もあります。こうした場所では、住民同士のつながりが深くなりやすい傾向があります。

観光地としての知名度がある温泉地は、道路や公共交通、医療・商業施設などの生活インフラが比較的整っている自治体が多いのも特徴です。湯布院温泉郷(大分県由布市)や霧島温泉(鹿児島県霧島市)のように、観光と生活が共存する街づくりを進めている自治体もあります。ただし施設の充実度は自治体・地域によって差があるため、具体的な生活環境は移住予定地に個別に確認してください。

温泉を活用した産業(旅館業、飲食、土産物店、温泉付き分譲地など)が地域経済を支えている自治体も多く、温泉関連の仕事に就業機会を見出せる場合もあります。また移住・定住施策の一環として、空き家バンクや古民家活用に取り組む自治体も見られますが、支援内容は自治体ごとに違うため、移住先候補の公式サイトや移住相談窓口での確認が欠かせません。

山あいや高原に立地する温泉地では、湯けむりが立ちのぼる街並みや、周辺の豊かな自然環境も暮らしの魅力になります。四季を通じて雪景色や紅葉、渓流など自然の変化を身近に感じられる土地も多く、自然の中での暮らしを重視する人にとっては候補になりやすいエリアといえます。

におい、費用、冬の暮らしはどう?

温泉地ならではの注意点として、まず硫黄泉が湧く地域で指摘されるのが硫黄臭です。硫黄成分を含む温泉が近くにあると、風向きや天候によって独特のにおいを感じることがあり、洗濯物の外干しや車・金属製品の劣化に影響が出るケースが報告されています。においや金属への影響の程度は泉質・立地によって差があるため、実際に住む前に現地で体感しておくことをおすすめします。

家に温泉を引きたいなら、「温泉権」や「引湯権」を確かめましょう。温泉を引くための権利で、地域の組合や慣習によって管理されていることが多くあります。権利を得る手続きに加え、温泉を引く料金や配管工事の費用が必要になる場合があります。水道と同じ手続きではないため、地元の温泉組合や自治体に、権利の有無と取得の条件を聞いておくことが大切です。

大型連休、夏休み、紅葉の時期には、観光客の車が増え、普段使う道も混むことがあります。買い物や通院にかかる時間が、季節で変わる地域もあります。いつも使う交通手段と経路を、観光シーズンの様子も含めて確かめておくとよいでしょう。

山間部や高原に位置する温泉地では、冬場の積雪・凍結リスクも見過ごせません。給水管や温泉の配管が凍結すると、水道・温泉の利用が一時的にできなくなる場合があり、冬季は道路の除雪状況によって通勤・通学に支障が出ることもあります。積雪量や凍結対策の有無は標高・立地で大きく違うため、冬季の暮らしについては現地の気象データや実際の居住者の声を確認しておくと安心です。

このほか、観光需要や別荘需要の影響で、温泉地周辺の地価・家賃が同一自治体内の他エリアと異なる水準になっている場合があります。傾向の有無や度合いは自治体・地域によって差が大きいため、具体的な水準は地価公示や地元の不動産業者への相談で一つずつ確かめてみてください。

このほか、旅館業や観光業が主な産業となっている温泉地では、地域の景気や観光需要の変動が住民の就業環境に影響することもあります。就業機会の幅を確認したい場合は、観光関連以外の産業がどの程度あるかも合わせて調べておくと、暮らしのイメージがつかみやすくなります。

お風呂への通い方から、住む場所を選ぶ

温泉地への移住を考えるときは、まず生活インフラの確認が欠かせません。病院・スーパー・学校までの距離、公共交通の運行本数、冬季の道路事情など、観光地としての賑わいとは別に、日常生活の利便性を実際に確認しておくことが大切です。

自宅に温泉を引きたいなら、権利、温泉を引く料金、維持や管理にかかる費用を調べましょう。共同浴場や外湯に通いたいなら、入浴料、営業時間、住民向けの割引があるかを見ておくと安心です。どんなふうに温泉を楽しみたいかで、選ぶ住まいや確かめる条件も変わります。

観光地としての規模感も選ぶときのポイントになります。大規模な温泉街は生活インフラが整いやすい一方で観光シーズンの混雑が生活に影響しやすく、小規模な湯治場は静かに暮らせる一方で買い物・通院先が遠い場合があります。自分たちの暮らし方に合った規模の温泉地を選ぶことが、移住後の満足度につながります。

標高や積雪量も見逃せない要素です。同じ「温泉地」でも、海沿いの温泉と山間部の高原温泉では気候がまったく異なります。冬の暮らしをイメージするために、気象庁の気候データや、実際にその地域で暮らす住民・移住者の声を集めておくことをおすすめします。

移住支援制度の有無や内容も確認しておきたいポイントです。空き家バンクや移住相談窓口を設けている自治体もありますが、制度の有無・内容は自治体ごとに異なります。候補地を絞り込む段階で、複数の自治体の移住支援制度を比較しておくと、暮らしのイメージがより具体的になります。

二つの拠点で暮らす、長く滞在するという選択も

国民保養温泉地は、温泉を守り、多くの人の利用につなげるための温泉法に基づく制度です。指定の追加や見直しは今後も続く見込みです。一覧はいつまでも同じとは限らず、時期によって変わることに気をつけてください。

今の家と温泉地を行き来して二つの拠点で暮らす、滞在しながら仕事をする「ワーケーション」を選ぶ動きもあります。長期滞在や、通って地域と関わる人を受け入れる自治体もあります。内容は地域ごとに違うため、移住や二拠点での暮らしを考えるなら、候補の自治体に聞いてみてください。

また、空き家バンクや古民家活用の枠組みを温泉地の移住施策と組み合わせている自治体も一部にあります。温泉権付きの古民家や、旅館業からの転用物件など、一般の住宅とは異なる特徴を持つ物件が流通していることもあるため、物件を探す際は建物の権利関係や用途変更の可否についても自治体窓口や不動産業者に確かめることが大切です。

湯治文化の見直しや、温浴を軸にした健康づくりへの関心の高まりを背景に、国民保養温泉地の環境整備に取り組む地域も見られます。取り組みの進捗や具体的な内容は温泉地ごとに違うため、関心のある地域については自治体や観光協会の公式情報で最新の状況を確認してください。

よくある質問

  • Q. 温泉地に移住すると、自宅のお風呂に温泉を引けますか? / A. 地域の温泉権(引湯権)の状況によります。組合への加入や引湯料、配管工事費が必要になる場合が多く、権利の取得条件は地域の慣習に左右されます。移住前に地元の温泉組合や自治体窓口へ確かめてみてください。
  • Q. 温泉地は硫黄のにおいが強いのですか? / A. 泉質や立地によって差があります。硫黄成分を含む温泉が近くにある地域では、風向きや天候によってにおいを感じることがあり、洗濯物や金属製品への影響が指摘されるケースもあります。実際に住む前に現地で体感しておくと安心です。
  • Q. 温泉地は冬場の暮らしに不便がありますか? / A. 山間部や高原の温泉地では、積雪や配管凍結、道路の冬季通行への影響が生じる場合があります。標高や立地によって程度が大きく違うため、気象データや実際の居住者の声を確認しておくことをおすすめします。
  • Q. 温泉地は観光シーズンに住みにくくなりますか? / A. 大型連休や夏休み、紅葉シーズンなどは道路や生活道路が混雑しやすい地域があります。買い物や通院の移動時間が季節によって変わる場合もあるため、日常の移動手段は季節差も踏まえて確認しておくとよいでしょう。
  • Q. 1つの温泉地なのに複数の市区町村が一覧に載っているのはなぜですか? / A. ニセコ温泉郷(北海道蘭越町・ニセコ町)や畑毛温泉(静岡県伊豆の国市・函南町)のように、1件の指定が複数の自治体にまたがっているケースがあるためです。本タグの一覧では、該当する自治体をすべて掲載しています。

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