この会話は、移住を考える人の疑問を説明するために構成したものです。登場人物は架空で、実際のインタビューや体験談ではありません。
まずは、今どこまで考えているかを知る
地方移住、興味はあるんですけど、何から始めればいいのか全然わからなくて…。
そこで迷う方は多いです。「準備」「情報集め」「見学・お試し」「決定」「引っ越し」の5段階に分けると、今どこまで進んでいるかをつかみやすくなります。
5つですか。もっと単純に「調べて、決めて、引っ越す」くらいだと思ってました。
途中の段階を飛ばすと、後で後悔しやすくなります。とくに、情報を集めることと、現地で暮らしを試すことは、分けて考えるのがポイントです。実際に行って初めて気づくことは、想像以上に多いので。
| ステップ | 期間の目安 | 主にすること |
|---|---|---|
| ① 準備 | 1〜2か月 | 移住の目的を言葉にする、家族の同意を取る |
| ② 情報収集 | 2〜4か月 | 候補地の絞り込み、制度・データの比較 |
| ③ 見学・お試し | 1〜3か月 | 現地訪問、お試し移住制度の活用 |
| ④ 決定 | 1〜2か月 | 住居・仕事の確定、資金計画の確定 |
| ⑤ 実行 | 1〜2か月 | 行政手続き、引越し、電気・ガス・水道などの切り替え |
期間はあくまで目安です。仕事の引き継ぎや子どもの学期の区切りなどによって前後します。
全体で半年〜1年ほどを見ておくと、無理なく進めやすくなります。街のデータやほかのガイドも、必要になる段階に合わせて紹介していきます。
1. なぜ移住したいか、家族と話してみる
最初の「準備」って、具体的には何をするんですか?
「なぜ移住したいか」を、自分の言葉で話せるようにすることが一番大切です。仕事のストレスから離れたい、自然の中で子育てしたい、実家の近くへ行きたい。理由が違えば、合う街も、選び方も変わります。
確かに、なんとなく「田舎暮らしっていいな」くらいの気持ちしかないかも…。
最初から、はっきり決めなくても大丈夫です。ただ、家族と暮らしているなら、できるだけ早く希望を話し、同意を得ておくことをおすすめします。調べた後に反対されると、それまでに使った時間が無駄になってしまうので。
収入源の方向性って、この段階でもう決めないといけないんですか?
まだ決めきらなくても大丈夫です。ただ、今の仕事を続けるか、変えるかだけでも仮に考えておくと、次に調べることが変わります。リモートで続けるなら通信、転職するなら求人が多い地域、というように候補を絞る基準になるからです。働き方は仕事のガイドで比べられます。
- 移住したい理由を紙に書き出してみる(複数あってOK)
- 家族がいる場合は早めに話し合いの場を持つ
- 収入源をどうするか(転職/転職なし/起業/リモートワーク継続)の方向性を考える
- 貯蓄や住宅ローンなど、資金面の現状をつかむ
2. 暮らし方を決めて、候補の街を比べる
情報収集は、具体的にどこから手をつければ…。自治体のホームページを片っ端から見るとか?
全国1,741市区町村を順に見るのは大変です。まずは、どんな暮らしをしたいかで絞ることをおすすめします。テレワーク、子育て、セカンドライフ、起業・地域おこし。あうマチのランキングやデータも、この4つに分けて探せます。
軸を決めてから、どうやって候補地を絞るんですか?
人口の変化、仕事、災害のリスク、住まいの費用を、公的なデータで比べてみましょう。印象だけで選ぶより、後悔しにくくなります。移住の支援がどれくらいあるかも、この段階で見ておくと、後のお金の計画を立てやすくなります。
- 候補地の暮らしやすさデータ(人口動態・雇用・災害・住宅費など)
- 移住・定住のための支援制度(国の移住支援金、自治体独自の補助金)
- 移住フェア・オンライン相談会(自治体担当者に直接質問できる場)
- 地域おこし協力隊など、仕事とセットになった移住制度の有無
国の移住支援金は、東京23区に住む方、または通勤する方を対象に、単身は60万円、世帯は100万円を上限として、都道府県が定める額を支給します。18歳未満の世帯員がいる場合は、1人につき100万円の加算があります。対象の条件と金額は都道府県・市町村で違うため、詳しい申請の流れは補助金のガイドで見てください。
3. 下見で、いつもの暮らしを試してみる
候補地が2〜3か所に絞れたら、次はもう決定でいいんでしょうか?
決める前に、必ず現地へ行ってみることをおすすめします。交通の不便さ、近所付き合いの距離感、スーパーまでの道のりなど、データやホームページでは分からないことがあります。行ってみて初めて気づくことは多いですよ。
普通の旅行みたいに行けばいいんですか?
観光する目線とは分けて、ここで暮らすつもりで見てみましょう。多くの自治体には、お試し移住の住宅や短く滞在できる制度があり、数日〜数か月の暮らしを体験できます。期間と費用は自治体で大きく違うため、候補の街の案内を一つずつ確かめてください。
| 視点 | 確認すること |
|---|---|
| 交通 | 最寄り駅・バス停までの距離、車がない場合の生活のしやすさ |
| 買い物 | スーパー・病院までの実際の所要時間 |
| コミュニティ | 近所付き合いの距離感、移住者の受け入れ実績 |
| 仕事 | 通勤・リモートワーク環境(通信速度など)の実際 |
| 季節差 | できれば違う季節にも訪問し、積雪・猛暑などの体感を確認する |
1回の訪問で全部を判断しようとせず、気になった候補地には複数回、できれば季節を変えて訪れると、後悔が少なくなります。
4. 住まい、仕事、お金の計画を決める
現地も見て、良さそうな場所が決まってきました。次は何を確定させればいいですか?
決めておきたいのは、住まい、仕事、お金の計画の3つです。そろう前に退職したり、今の家の契約を終えたりすると、戻すのが難しくなります。進める順番には気をつけてください。
- 住居が決まっているか(賃貸契約・持ち家の取得、空き家バンクの活用など)
- 収入のめどが立っているか(転職先の内定、リモートワーク継続の合意、起業計画など)
- 移住支援金など申請できる制度の要件(居住実績や就業条件などが定められている場合が多い)を満たせるか
- 今の住まいの退去・売却スケジュールと、移住先の入居可能日が合っているか
支援金は移住してから申請すればいいんですよね?
先に移住すると対象にならない条件がある制度もあります。申請する時期や書類は自治体で違います。決める段階で、移住先の窓口に一度聞いておくと安心です。詳しい流れは補助金のガイドで紹介しています。
今住んでいる賃貸の解約って、いつ言えばいいんでしょう。早く言いすぎて宙ぶらりんになるのも怖いです。
賃貸は、退去の1〜2か月前に解約を知らせる契約が一般的です。まず新居の入居日を決めてから、今の家へ解約を知らせるのが基本です。逆の順番だと、退去日は迫るのに新居が決まらない、という一番つらい状況になってしまいます。契約書で、何日前に知らせる必要があるかを、決定の段階に入る前に見ておきましょう。
5. 手続きと引っ越しを進める
いよいよ実行ですね。何から手をつければいいですか?
自治体での手続き、電気・ガス・水道などの切り替え、引っ越しを並行して進めます。住民票を移す手続きは法律で期限が決まっているので、最初に見ておきましょう。
| 手続き | いつ | オンライン化の状況 |
|---|---|---|
| 転出届 | 引越し前後に、いまの市区町村へ | マイナンバーカードがあればマイナポータルの「引越しワンストップサービス」でオンライン提出可(2023年2月開始) |
| 転入届 | 引越し後14日以内に、新しい市区町村へ | オンラインでの来庁予約は可能だが、届出自体は窓口での手続きが必要(住民基本台帳法第22条) |
転入届は正当な理由なく14日を過ぎると、5万円以下の過料の対象になる場合があります(住民基本台帳法)。
住民票のほか、マイナンバーカードの住所、国民健康保険、年金も手続きが必要です。子どもがいる場合は転校の準備も、同じ時期に重なります。
- 電気・ガス・水道・インターネットの移転手続き(引越し1〜2週間前までに連絡するのが目安)
- 郵便物の転送届(日本郵便の転居・転送サービス)
- 引越し業者の手配(繁忙期は早めの予約が必要)
- 移住支援金など、要件を満たした制度の申請手続き
やることが多いですね…。全部一人で管理するのは大変そう。
この段階は、することが一気に増えます。チェックリストを作って、忘れないようにするのがおすすめです。電気や通信の切り替え、引っ越し業者の選び方は、それぞれのガイドで手順を紹介しています。
出典
- 住民基本台帳法 第22条(転入届の期限) (参照: 2026-07-04)
- デジタル庁「引越しワンストップサービス(オンラインでの転出届)」 (参照: 2026-07-04)
- 内閣官房・内閣府「移住支援金」(地方創生) (参照: 2026-07-04)