この会話は、移住を考える人の疑問を説明するために構成したものです。登場人物は架空で、実際のインタビューや体験談ではありません。

転職だけじゃない。仕事には4つの道がある

高橋 沙耶(32歳・都内在住のテレワーカー)
高橋 沙耶
32歳・都内在住のテレワーカー

移住したいと思ってるんですけど、正直いちばん不安なのは仕事のことなんです。転職しないといけないんでしょうか?

宮田 誠(ガイドの案内役(架空))
宮田 誠
ガイドの案内役(架空)

転職のほかにも、地域おこし協力隊として働く、今の仕事をリモートで続ける、移住して事業を始める方法があります。ここでは、この4つの道を比べてみましょう。

高橋 沙耶(32歳・都内在住のテレワーカー)
高橋 沙耶
32歳・都内在住のテレワーカー

4つもあるんですね。どれが自分に合うかなんて、どう判断すれば…。

宮田 誠(ガイドの案内役(架空))
宮田 誠
ガイドの案内役(架空)

働き方によって、合う人も違います。一つずつ、実際の仕事や条件を見てみましょう。比べながら読むと、自分に近い道を見つけやすくなると思います。

4つの選択肢 概要
選択肢収入の安定性向いている人
① 地域おこし協力隊任期中は安定(自治体から支給)、任期後は自分次第地域に飛び込んで働きたい、任期中に次を模索したい人
② 地方で転職する転職先次第で安定地方に既にやりたい仕事・業界がある人
③ リモートワーク移住現職継続なら最も安定今の仕事・会社に不満はなく、場所だけ変えたい人
④ 移住して起業する軌道に乗るまで不安定地域で事業をやりたい、リスクを取れる人

1. 地域おこし協力隊で、地域の仕事に関わる

高橋 沙耶(32歳・都内在住のテレワーカー)
高橋 沙耶
32歳・都内在住のテレワーカー

地域おこし協力隊って、テレビとかで見たことはあるんですけど、実際どういう制度なんですか?

宮田 誠(ガイドの案内役(架空))
宮田 誠
ガイドの案内役(架空)

都市部から移住する人に、自治体が隊員として活動を依頼する総務省の制度です。地域おこしに関わり、自治体から給与や活動費を受け取ります。2025年度は全国1,187自治体で8,196人が活動し、6年連続で過去最多を更新しています。

高橋 沙耶(32歳・都内在住のテレワーカー)
高橋 沙耶
32歳・都内在住のテレワーカー

年齢層はどれくらいの人が多いんですか?

宮田 誠(ガイドの案内役(架空))
宮田 誠
ガイドの案内役(架空)

20代が33.6%、30代が30.1%で、20〜30代だけで6割超を占めます。男女比は男性59.7%・女性40.3%。若い世代の第一の選択肢になっていますが、40代・50代の隊員も一定数います。

地域おこし協力隊の基本情報
項目内容
任期おおむね1〜3年
支給額の目安隊員1人あたり上限520万円/年(令和6年度、特別交付税による自治体への財政措置)。給与・住居費・活動経費などに充てられる
主な活動内容地域PR、観光振興、農林水産業支援、移住定住支援など自治体ごとに異なる
任期後の定住率約7割(2020〜2024年度に任期を終えた8,762人のうち6,163人が活動地域に定住)

支給額・活動内容は自治体・年度によって異なります。応募前に必ず募集要項を確認してください。

高橋 沙耶(32歳・都内在住のテレワーカー)
高橋 沙耶
32歳・都内在住のテレワーカー

上限520万円って、それが隊員のお給料になるんですか? だとしたらかなり良い気がしますが…。

宮田 誠(ガイドの案内役(架空))
宮田 誠
ガイドの案内役(架空)

520万円は、隊員の手取りの額ではありません。2024年度の、国から自治体への財政支援の上限です。給与に当たる報償費などが上限320万円、残り200万円は家の借り上げ、活動の旅費、研修などに使う経費です。給与部分は年320万円が上限で、実際の支給額は自治体ごとに違います。募集要項の報償費の欄を、必ず読んでください。

高橋 沙耶(32歳・都内在住のテレワーカー)
高橋 沙耶
32歳・都内在住のテレワーカー

なるほど、求人票の額面の見方が大事なんですね。副業はできるんですか?

宮田 誠(ガイドの案内役(架空))
宮田 誠
ガイドの案内役(架空)

副業の条件は自治体で違います。任期後の定住や起業につなげるため、認める自治体は増えています。ただ、自治体に雇われるか、個人事業主として活動を依頼されるかでも条件が変わります。募集要項と面談で確かめたいところです。

地域おこし協力隊が向いている人
  • 特定の業界・職種にこだわりがなく、地域に飛び込んで働きたい人
  • 任期中に地域とのつながりを作りながら、次のキャリア(定住・転職・起業)を模索したい人
  • 収入の安定と地域での活動経験を両立したい人
応募前に確認しておきたいこと
  • 支給額の内訳(給与に相当する部分と活動経費)は自治体によって配分が異なる
  • 任期終了後の生活は基本的に自分で用意する必要がある(定住するか、次の仕事を見つけるか)
  • 活動内容によっては地域行事への参加など、私生活との両立に工夫が必要な場合がある

2. 移住先の会社で、仕事を探す

高橋 沙耶(32歳・都内在住のテレワーカー)
高橋 沙耶
32歳・都内在住のテレワーカー

普通に地方の会社に転職する場合は、何から始めればいいですか?

宮田 誠(ガイドの案内役(架空))
宮田 誠
ガイドの案内役(架空)

地方の求人に詳しい転職サイトやエージェントを使う方法と、自治体のUターン・Iターン支援窓口を使う方法があります。両方を使う人も多いです。

高橋 沙耶(32歳・都内在住のテレワーカー)
高橋 沙耶
32歳・都内在住のテレワーカー

自治体の窓口って、実際どんなことをしてくれるんですか?

宮田 誠(ガイドの案内役(架空))
宮田 誠
ガイドの案内役(架空)

都道府県ごとに「移住相談窓口」や「Uターン就職支援センター」を設けていて、地元企業の求人紹介や、就職フェアの案内、地方在住のまま使えるオンライン相談などをしています。地方に強い転職エージェント各社も、47都道府県別に求人を紹介する仕組みを整えています。

地方転職で使える主な窓口
  • 都道府県の移住相談窓口・Uターン就職支援センター(無料、公的な求人・支援制度の紹介)
  • 地方特化型の転職エージェント(業界・職種別に非公開求人を保有している場合がある)
  • 大手転職サイトの地方求人特集ページ
  • ハローワークの地方版(地元企業の求人を幅広くカバー)
宮田 誠(ガイドの案内役(架空))
宮田 誠
ガイドの案内役(架空)

地方は都市部より求人の数が少なく、職種や業界によっては選べる仕事が限られます。移住先に、希望する仕事の募集がどれくらいあるかを先に見ておくと、思っていた働き方とのずれを防げます。

3. 今の仕事を、リモートで続ける

高橋 沙耶(32歳・都内在住のテレワーカー)
高橋 沙耶
32歳・都内在住のテレワーカー

今の会社の仕事は気に入っているので、できれば辞めたくないんです。そのまま移住するのは難しいですか?

宮田 誠(ガイドの案内役(架空))
宮田 誠
ガイドの案内役(架空)

実はいちばん多くの人が理想として挙げる方法です。リモートワークに関する2026年の調査では、フルリモート勤務者の55.4%が「フルリモートで働ける仕事であること」を移住を実現する条件の1位に挙げています。ハイブリッド勤務者でも39.5%が同じ回答でした。

高橋 沙耶(32歳・都内在住のテレワーカー)
高橋 沙耶
32歳・都内在住のテレワーカー

つまり、今の仕事がフルリモートでできるかどうかが一番の分かれ目ってことですね。

宮田 誠(ガイドの案内役(架空))
宮田 誠
ガイドの案内役(架空)

そうですね。会社に認めてもらう相談と合わせて、移住先の光回線やモバイル回線の速さ、オンライン会議ができる場所も考える必要があります。

リモートワーク移住の検討ポイント
  • 会社の就業規則でリモートワーク・転居がどこまで認められているか
  • 移住候補地の通信インフラ(光回線の提供エリアかどうか)
  • 月1〜数回の出社が必要な場合、最寄りの新幹線・空港へのアクセス
  • 地方移住支援金の対象条件(勤務先が東京23区にある場合などに適用されるケースがある)

4. 移住先で、事業を始める

高橋 沙耶(32歳・都内在住のテレワーカー)
高橋 沙耶
32歳・都内在住のテレワーカー

移住を機に、地域で何か事業を始めたいという気持ちもあります。支援制度みたいなものはあるんですか?

宮田 誠(ガイドの案内役(架空))
宮田 誠
ガイドの案内役(架空)

代表的なのが、地域おこし協力隊の任期を終えた人向けの起業支援補助金です。任期2年目から任期終了翌年までに、活動していた自治体内で起業する場合、上限100万円の支援を受けられます。

高橋 沙耶(32歳・都内在住のテレワーカー)
高橋 沙耶
32歳・都内在住のテレワーカー

協力隊を経験していないと起業支援は受けられないんですか?

宮田 誠(ガイドの案内役(架空))
宮田 誠
ガイドの案内役(架空)

協力隊を経験していなくても、自治体独自の創業の補助金や、日本政策金融公庫の創業融資などを使えます。ただ、協力隊向けほど移住した人に特化した制度は多くありません。地域の商工会議所や、自治体の産業振興課に相談するのが基本です。

起業支援金の利用条件(協力隊経由の場合)
  • 任期終了日の前1年以内、または任期終了後1年以内に活動地の同一市町村内で起業すること
  • 事業が地域活性化に資すると自治体・総務省に認められる必要がある
  • 任期終了後3年以内に自己都合で市外へ転出すると、定住期間に応じて補助金の返還を求められる場合がある

自分の暮らしに合う道を、組み合わせてもいい

高橋 沙耶(32歳・都内在住のテレワーカー)
高橋 沙耶
32歳・都内在住のテレワーカー

4つとも実態はわかったんですけど、結局自分がどれに向いているのか、まだピンと来ません。

宮田 誠(ガイドの案内役(架空))
宮田 誠
ガイドの案内役(架空)

移住の目的によって、向いている道は変わってきます。目安として、こんな傾向があります。

移住タイプ別の向き不向きの目安
移住タイプ相性が良い選択肢理由
テレワーク移住③ リモートワーク移住現職を続けたい人がほとんど、収入の安定を優先しやすい
子育て移住② 地方で転職 / ③ リモートワーク移住収入の安定を確保しつつ、子育て環境を優先したいニーズが強い
セカンドライフ移住② 地方で転職(定年後の再就職) / ④ 起業年金など他の収入源と組み合わせやすい
起業・地域おこし移住① 地域おこし協力隊 / ④ 起業地域に飛び込んで新しいことを始めたい志向と直結する

あくまで傾向です。実際にはひとつの選択肢に絞らず、協力隊として着任してから地域で起業する、というように組み合わせる人も多くいます。

高橋 沙耶(32歳・都内在住のテレワーカー)
高橋 沙耶
32歳・都内在住のテレワーカー

「協力隊として着任してから起業する」みたいな組み合わせもアリなんですね。ひとつに決めきらないといけないと思ってました。

宮田 誠(ガイドの案内役(架空))
宮田 誠
ガイドの案内役(架空)

はい。任期中に地域の課題や人とのつながりを知り、起業支援金を使って独立するのは、よくある道の一つです。リモートで移住した後、地域に慣れてから地元企業に転職する方法もあります。最初の働き方と、その後の働き方は違っても大丈夫です。

宮田 誠(ガイドの案内役(架空))
宮田 誠
ガイドの案内役(架空)

ただ、収入の不安を後回しにしないことは大切です。移住してから何となく仕事を探すより、4つのうちどの道に近いかを先に考えておくほうが、暮らしの計画を立てやすくなります。

出典