この会話は、移住を考える人の疑問を説明するために構成したものです。登場人物は架空で、実際のインタビューや体験談ではありません。

旅行と、暮らしのお試しはどう違う?

高橋 沙耶(32歳・都内在住のテレワーカー)
高橋 沙耶
32歳・都内在住のテレワーカー

移住を考えている町には、旅行で何度か行ったことがあるんです。それでも、わざわざ「お試し移住」までする必要があるんでしょうか?

宮田 誠(ガイドの案内役(架空))
宮田 誠
ガイドの案内役(架空)

旅で街を知っているのは、よいきっかけです。ただ、観光では景色のよい場所や飲食店に行くことが多いですよね。暮らしのお試しでは、スーパーの品ぞろえ、通勤の道の交通量、ごみの出し方、平日の静けさなどを見ます。旅行では通り過ぎたことが、毎日の暮らしでは大切になります。

高橋 沙耶(32歳・都内在住のテレワーカー)
高橋 沙耶
32歳・都内在住のテレワーカー

たしかに、旅行だと外食ばかりで、スーパーで買い物したことすらないかもしれません…。

宮田 誠(ガイドの案内役(架空))
宮田 誠
ガイドの案内役(架空)

お試し移住は、自治体などの住宅に数日〜数週間滞在し、住むつもりで生活してみる仕組みです。国も、移住後に思っていた暮らしと違うと感じることを防ぐため、体験の制度を後押ししています。内閣官房・内閣府の移住応援サイトでも、移住を考える最初の段階で使う方法として紹介されています。

高橋 沙耶(32歳・都内在住のテレワーカー)
高橋 沙耶
32歳・都内在住のテレワーカー

移住の手順としては、どの段階でやるのがいいんですか?

宮田 誠(ガイドの案内役(架空))
宮田 誠
ガイドの案内役(架空)

候補が2〜3か所に絞れたときが、おすすめです。まだ10か所あるなら、フェアや情報集めのほうが効率よく探せます。反対に、家を契約する直前では、違和感に気づいても戻りにくくなります。絞った街が自分に合うか、最後に確かめる段階で使うのが最も効果的です。

家を借りる? ツアー? 働きながら滞在する?

高橋 沙耶(32歳・都内在住のテレワーカー)
高橋 沙耶
32歳・都内在住のテレワーカー

お試し移住って、具体的にはどんな制度があるんですか?

宮田 誠(ガイドの案内役(架空))
宮田 誠
ガイドの案内役(架空)

主な方法は4つです。家具や家電の付いたお試し住宅、自治体の移住体験ツアー、働いて収入を得ながら滞在するふるさとワーキングホリデー、協力隊を考える人向けのおためし協力隊やインターンです。

お試し移住 制度の種類と特徴
種類期間の目安費用感向いている人
お試し住宅(移住体験住宅)数日〜1ヶ月程度(自治体による)無料〜数千円/泊の自治体が多い(光熱費別のことも)自分のペースで生活を確かめたい人、家族連れ
移住体験ツアー(パッケージ型・オーダーメイド型)日帰り〜2泊3日程度参加費は自治体により無料〜実費程度初めての候補地で、先輩移住者や自治体担当者と話したい人
ふるさとワーキングホリデー2週間〜1ヶ月程度働いて収入を得ながら滞在長期休暇のある学生・若手社会人、仕事込みで地域を知りたい人
おためし協力隊・協力隊インターン2泊3日程度(おためし)/2週間〜3ヶ月(インターン)自治体の募集要項による地域おこし協力隊への応募を検討している人

期間・費用・条件は自治体や募集回ごとに異なります。必ず各自治体・各制度の公式サイトで最新情報を確認してください。

高橋 沙耶(32歳・都内在住のテレワーカー)
高橋 沙耶
32歳・都内在住のテレワーカー

ふるさとワーキングホリデーって初めて聞きました。働きながら滞在できるんですか?

宮田 誠(ガイドの案内役(架空))
宮田 誠
ガイドの案内役(架空)

2017年度に総務省が始めた制度です。2週間〜1か月ほど地域で働き、収入を得ながら滞在し、住民との交流や学ぶ機会を通して暮らしを体験します。費用を抑えながら、その地域で働く感覚も試せます。募集は総務省のポータルサイトで探せます。

高橋 沙耶(32歳・都内在住のテレワーカー)
高橋 沙耶
32歳・都内在住のテレワーカー

地域おこし協力隊のインターンというのは、協力隊に入る前のお試しみたいなものですか?

宮田 誠(ガイドの案内役(架空))
宮田 誠
ガイドの案内役(架空)

はい。おためし協力隊は主に2泊3日で、地域の案内や交流、顔合わせが中心です。インターンは2週間〜3か月で、隊員と同じように地域の活動をします。どちらも移住が条件ではないので、協力隊が自分に合うかを確かめるために使えます。協力隊のガイドも参考にしてください。

高橋 沙耶(32歳・都内在住のテレワーカー)
高橋 沙耶
32歳・都内在住のテレワーカー

自分の場合、まずはどれから始めるのがいいんでしょう?

宮田 誠(ガイドの案内役(架空))
宮田 誠
ガイドの案内役(架空)

まだ街をよく知らないならツアー、生活を試すなら住宅、仕事も含めて知りたいならワーキングホリデーがおすすめです。協力隊を考えているならインターンもあります。段階を分けて、いくつか組み合わせる人も多いですよ。

使える住宅と、申込みの条件を調べる

高橋 沙耶(32歳・都内在住のテレワーカー)
高橋 沙耶
32歳・都内在住のテレワーカー

お試し住宅って、どうやって探せばいいんですか?

宮田 誠(ガイドの案内役(架空))
宮田 誠
ガイドの案内役(架空)

候補の市町村の公式サイトで「お試し住宅」「移住体験」を探すのが、最も早いです。県の移住ポータルも見てみましょう。長野県の楽園信州のように、県内の住宅を一覧にしたサイトもあります。国や民間の移住支援サイトの特集から探す方法もあります。

高橋 沙耶(32歳・都内在住のテレワーカー)
高橋 沙耶
32歳・都内在住のテレワーカー

申込みは、宿の予約みたいにネットでポチッとできるものなんですか?

宮田 誠(ガイドの案内役(架空))
宮田 誠
ガイドの案内役(架空)

宿の予約とは違い、申請書が必要な自治体が多いです。利用の目的を書いたり、先に電話やオンラインで面談したりすることもあります。移住を考える人のための住宅なので、観光だけの利用は断られるのが普通です。

高橋 沙耶(32歳・都内在住のテレワーカー)
高橋 沙耶
32歳・都内在住のテレワーカー

そうなんですね。申し込めば誰でも使えるわけではない、と。

宮田 誠(ガイドの案内役(架空))
宮田 誠
ガイドの案内役(架空)

はい。基本は、具体的に移住を考えている人向けです。年齢や世帯の条件がある場合もあります。また、条件のよい住宅は数か月先まで予約が埋まることも珍しくありません。夏休みや連休に行きたいなら、2〜3か月以上前に聞いておくと安全です。

申込み前に確認しておきたいこと
  • 利用条件(移住を考えている人限定か、年齢・世帯構成の条件はあるか)
  • 申込み方法と締切(申請書の提出・事前面談の有無、抽選か先着か)
  • 費用の内訳(利用料のほか、光熱費・寝具・清掃費が別途かかるか)
  • 設備(家具・家電・Wi-Fiの有無、車がないと生活できる立地か)
  • 利用可能期間(最短・最長何泊か、連泊の上限)
高橋 沙耶(32歳・都内在住のテレワーカー)
高橋 沙耶
32歳・都内在住のテレワーカー

面談って、何を聞かれるんでしょう。ちょっと緊張しますね。

宮田 誠(ガイドの案内役(架空))
宮田 誠
ガイドの案内役(架空)

多くは、どれくらい移住を考えているか、どんな暮らしをしたいかを確かめる面談です。選考というより、希望と制度が合うかを話し合う場なので、身構えすぎなくて大丈夫です。自分から聞きたいことを伝える機会にもなります。先に移住した人と会う予定を組んでくれる自治体もあるので、希望を伝えてみましょう。

いつもの平日を試し、季節も変えて訪ねる

高橋 沙耶(32歳・都内在住のテレワーカー)
高橋 沙耶
32歳・都内在住のテレワーカー

せっかく滞在するなら、何を確認しておくべきでしょうか。ただ数日暮らすだけだと、旅行の延長になってしまいそうで。

宮田 誠(ガイドの案内役(架空))
宮田 誠
ガイドの案内役(架空)

移住後の平日を、一日試してみるのがおすすめです。朝起きて、通勤や通学に使う道を移動し、スーパーで夕食を買い、夜の暗さや静けさも見てみましょう。観光しない一日には、旅では気づかなかった街の様子が見えてきます。

滞在中のチェックリスト
  • 買い物: スーパー・ドラッグストア・病院までの距離と品揃え、価格帯
  • 交通: 通勤・通学経路の所要時間、バス・電車の本数、車なしで生活できるか
  • 気候: 体感の暑さ寒さ、風の強さ、日照(データではなく身体で確かめる)
  • 地域の空気: あいさつの距離感、自治会・行事の様子、移住者への視線
  • ネット環境: 光回線の提供エリアか、モバイル回線の実測速度(テレワーク予定なら必須)
  • 音とにおい: 交通量、農作業や畜産のにおい、夜間の静けさ
高橋 沙耶(32歳・都内在住のテレワーカー)
高橋 沙耶
32歳・都内在住のテレワーカー

「季節を変えて2回行くべき」と聞いたことがあるんですが、そこまで必要ですか?

宮田 誠(ガイドの案内役(架空))
宮田 誠
ガイドの案内役(架空)

できるなら、季節を変えて訪ねることを強くおすすめします。夏は涼しい高原でも、冬は毎朝の雪かきや、凍った道の運転が必要になります。冬に静かだった観光地が、夏は渋滞することもあります。季節で暮らしが大きく変わるからです。

高橋 沙耶(32歳・都内在住のテレワーカー)
高橋 沙耶
32歳・都内在住のテレワーカー

雪国を考えているなら、冬に行かないと意味がないということですね。

宮田 誠(ガイドの案内役(架空))
宮田 誠
ガイドの案内役(架空)

雪の多い地域なら、少なくとも一度は雪の時期に滞在し、雪かき、雪道の運転、灯油にかかるお金の感覚を確かめてください。一番大変な季節を体験し、それでも住みたいかを考えることが、判断の基準になります。快適な季節の印象だけで決めるのは、よくある失敗です。

高橋 沙耶(32歳・都内在住のテレワーカー)
高橋 沙耶
32歳・都内在住のテレワーカー

地域の人との関わりは、短い滞在でどこまで分かるものでしょうか。

宮田 誠(ガイドの案内役(架空))
宮田 誠
ガイドの案内役(架空)

数日で、人間関係のすべては分かりません。移住担当の窓口に、先に移住した人と話したいとお願いするのが近道です。よかったことや予想外だったことを直接聞けます。直売所や飲食店で話すだけでも、街の雰囲気は伝わってきますよ。

何日滞在する? 仕事と費用の予定を立てる

高橋 沙耶(32歳・都内在住のテレワーカー)
高橋 沙耶
32歳・都内在住のテレワーカー

期間はどれくらいが適切なんでしょう。1週間と1ヶ月では、だいぶ違いますよね。

宮田 誠(ガイドの案内役(架空))
宮田 誠
ガイドの案内役(架空)

1週間なら、買い物、交通、気候をひと通り試せます。1か月なら、最初の物珍しさがなくなってからの過ごし方や、地域との関わりまで見えてきます。まず1週間で確かめ、手応えがあれば長く滞在する進め方が現実的です。

高橋 沙耶(32歳・都内在住のテレワーカー)
高橋 沙耶
32歳・都内在住のテレワーカー

費用は、トータルでどれくらい見ておけばいいですか?

宮田 誠(ガイドの案内役(架空))
宮田 誠
ガイドの案内役(架空)

住宅などの滞在費、往復の交通費、現地での生活費を合わせて考えます。お試し住宅は無料〜数千円/泊の自治体が多く、交通費が一番大きくなることもあります。光熱費や寝具代が別の施設もあるので、申込みのときに聞いてください。補助がある自治体もあるため、支援制度も必ず見ておきましょう。費用の計画には、費用シミュレーターのガイドも使えます。

高橋 沙耶(32歳・都内在住のテレワーカー)
高橋 沙耶
32歳・都内在住のテレワーカー

問題は仕事です。会社員なので、1ヶ月も休めません。

宮田 誠(ガイドの案内役(架空))
宮田 誠
ガイドの案内役(架空)

テレワークができれば、住宅から仕事を続けてみる方法があります。Wi-Fiのあるお試し住宅も増えています。平日は普段どおり働き、朝晩や週末に街を見てみると、移住後に近い生活を体験できます。

高橋 沙耶(32歳・都内在住のテレワーカー)
高橋 沙耶
32歳・都内在住のテレワーカー

テレワークが難しい仕事の場合は、どうすれば?

宮田 誠(ガイドの案内役(架空))
宮田 誠
ガイドの案内役(架空)

連休と有休で、金曜〜火曜のような4〜5日の滞在を、季節を変えて繰り返す方法が現実的です。一度に長くいるより、違う季節に何度か訪ねるほうが、判断の材料になります。転職をするなら、退職後から次の仕事までの間に、1か月滞在する人もいます。仕事のガイドも参考にしてください。

候補の街の制度を、まず調べてみよう

高橋 沙耶(32歳・都内在住のテレワーカー)
高橋 沙耶
32歳・都内在住のテレワーカー

話を聞いて、お試し移住をやらずに移住を決めるのは怖くなってきました。

宮田 誠(ガイドの案内役(架空))
宮田 誠
ガイドの案内役(架空)

本格的な移住には、引っ越し代、家の契約、人間関係の変化が伴います。それに対して、お試しは数万円と数日の休み程度です。移住後に気づく数百万円に及ぶ失敗を、先に数万円の体験で防ぐための備えと考えると、試しておく意義は大きいです。

高橋 沙耶(32歳・都内在住のテレワーカー)
高橋 沙耶
32歳・都内在住のテレワーカー

最初の一歩としては、何をすればいいですか?

宮田 誠(ガイドの案内役(架空))
宮田 誠
ガイドの案内役(架空)

まず市町村の公式サイトで、お試し住宅や移住体験の条件を調べましょう。なければ県の移住ポータルや、ワーキングホリデーのサイトも見てみます。行きたい時期が決まったら、2〜3か月前に予約を問い合わせてください。全体の流れと、決定前のチェックリストも合わせて使ってみましょう。

高橋 沙耶(32歳・都内在住のテレワーカー)
高橋 沙耶
32歳・都内在住のテレワーカー

ありがとうございます。まずは候補地の制度を調べて、夏と冬の2回計画を立ててみます。

宮田 誠(ガイドの案内役(架空))
宮田 誠
ガイドの案内役(架空)

制度や料金は年度で変わることも多いので、最新の案内を自治体の公式サイトで必ず確かめてください。現地では、観光だけでなく暮らしも試す。それがお試し移住を生かすコツです。

出典